身体障害とクライミング [見えても見えなくてもフェア]


注記:障害者の表記には複数の表記方法があります。検討し、本文では”障害者”の表記を使用します。

先日、ロックキューブに右半身の片麻痺を患っている方が登りに来てくれました。

その時を、とりとめもなく文章にします。

「あ、アレ買い忘れてた…」

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はじめに

・事前にその方がご来店されることを教えていただいたSさんありがとうございました。気持ちの準備ができました。

・その場にいた皆さん、ありがとうございました。スラブ壁を長く使わせていただきました。その方に声をかけていただいたり、「あの人登れましたか?」と気にしてもらったり嬉しかったです。

・結果的には、8級の1番を登ることはできませんでしたが、それでも「悔しい、楽しい、またやりたい」とおっしゃってましたので、そんな風に思ってもらえた雰囲気がその場にあったのはみなさんのおかげです。

ありがとうございます。

とりとめもない文章

・その方はNPO法人モンキーマジックでロープクライミングを体験され、面白かったので当店をご来店されました。

・当ジムにもロープがあると思われていたようでしたが、ないことがわかっても「やってみます」ということで挑戦されました。

・一見して、怪我のリスクが非常に高いとは感じたものの、本人が挑戦するというものを私の判断でその挑戦を奪うことはできなかったので、無理をしないことを約束し「まずやってみる」ことにしました。

登り始めると予想以上につらそうでした

こちらからは必要以上のサポートはせず、厳しいかもしれないけど本人の力だけでどこまでいけるか、落ちた時に怪我だけしないようにと考えていました。想像つきにくいかもしれませんが、数十センチの高さでも落ち方を間違えると怪我になってしまうのではないかというような感じでした。

片麻痺の影響で、右足が踏めない、右手に力が入りづらい。

見ているだけでも、踏めていないのがよくわかりました。

その時の私の印象は「これは登れない」というものでした。

何度かトライして大きな進展は見られず、「これは登れない」という印象が固まるばかり。でも、本人から「やっぱりやめときます」という言葉は出てこない。登れないのに料金をいただくわけにはいかないので、頭の中では「登れないし、危ない。あと数トライしてみて返金をしよう。」と、それが正直な思いでした。

数トライ後、やはり進展は見られませんでした。「どうしますか?」という言葉がのど元まで出かかっていたのが本当のところです。

でも、本人は何も言ってこない。

隣で立って待っていると、壁があけばまた登り始める。それでも登れない。

今度は、「ちょっと休んでから」と休憩してから登り始める。

そこでもう、「やめよう」と考えるのはやめました。

本人がやめようと考えていないことがはっきりとしたから。

「登れない」ことが、「登ることをやめる」ことにはつながっていないんだとわかったから。たとえそれが一番簡単なコースであっても。

結果1つのコースも登れませんでした

でも、上達はあったように思います。

・踏めなかったホールドが少し踏めるようになったように見えました。

・反り返らなかった右足の指が少し反り返ったように見えました。

・ぶら下がりに耐えられなかった腕が、少し自重を支えられるようになったように見えました。

ただそう見えただけで、私自身の不甲斐なさに対する単なるエクスキューズなのかもしれないけど、本当の気持ちです。

今日のクライミングは意味のあるものだったと、そう思えました。

彼女にとっても、自分にとっても、それを見ることが出来た周りの人にとっても。

想像することしかできないけれど

色々と話をしました。

初めてロープをつけて登った時に「こんな動きしたことない。こんな風に動けるんだ。」と感じたこと。

私の想像でしかありませんが、彼女にとって、8級の1番のトライをやめることはそんな風に感じられたせっかくの自分の想いを、なんだか勿体の無いものにしてしまう行為だったのかもしれません。

モンキーマジックの活動

モンキーマジックは「クライミングを通じて視覚障害者をはじめとする人々の可能性を広げる活動」をしています。

以前、ブログでその活動を紹介したことがあります。興味がある方は読んでみてください。

ロックキューブクライミングジムのマイケルです! ブログの更新を長らく冬眠していましたが、桜も満開のこの季節に再開しまっす。 20...

今回あらためてモンキーマジックの活動の素晴らしさを再認識しました。そして、その活動を当事者としていつもサポートしているSさんやKちゃんのことを想いました。

おまけのようなもの

大好きなヒロトのずっと頭に残ってる動画があります。

彼が20代の頃の山本監督との対談で、

「友達からはガキンチョ騙してんじゃねぇ」って言われるんですよって言った後に、

「ガキンチョ騙すのがロックだと思う」って

「だって俺、騙されたんだもん」って

続けて、

「ラッキー。それがやりたかったんだ。」

すごくいい顔で、そう言うんです。

もう羨ましくって羨ましくって。

2分くらいから見るとそのシーンです

俺も言いたいんです。

「ラッキー。それがやりたかったんだ。」って。

きっとモンキーマジックの活動って、そういうことなんじゃないかなって思ってます。

おしまい


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